こちらでは、紅茶葉の等級や種類についてお話しましょう。
紅茶の葉の「等級」というのは、茶葉の『大きさ』と『見た目』のことで、
等級が高いから「良い紅茶」というわけではないんです。
紅茶工場では、茶摘みをして葉を揉み、発酵させ、乾燥を経て紅茶葉を作るのですが、(紅茶の茶摘みから加工まで)
そのまま紅茶として飲むことは出来ても、商品として市場に送り出すには、品質分けをする必要があるんです。
茶葉の乾燥工程時では、大・小のサイズが違った葉が混ざり合っているので、
紅茶を抽出した時の味わいにバラつきが出てしまいます。
大型の紅茶葉では、水色(すいしょく)が薄く、抽出に時間が掛かりますが、
小型の紅茶葉では、水色が濃く、抽出に掛かる時間も大型茶葉よりも短くてすみます。
大型の紅茶葉で抽出 |
小型の紅茶葉で抽出 |
|
|
どんな種類の紅茶でも、作る過程でいろんな等級(『大きさ』と『見た目』)の茶葉が出来上がります。
紅茶の産地(銘柄)と、茶葉の等級によって、紅茶の味わいや濃度の大体の見当は付きますが
品質や価値を決め付けてしまうのは良くありません。
なぜなら、等級が低いとされていても、「おいしい紅茶」は存在するからです。
紅茶は農産物で、産地の天候の影響を受け、収穫年や季節ごとに出来の良し悪しが変わるものです。
実際に味わって、シーズンごとに変化する紅茶の良さを楽しめば良いのです。
なんだか、まるでワインのようですね!
とは言え、紅茶の等級を知っておくことは、お好みの紅茶に出逢うための一つの目安でもあります。
こちらで紹介する紅茶葉の等級を参考に、「お好みの紅茶探し」のバイブルにしていただければ幸いです。
紅茶は、茶葉の部位によって名前が付いていて、特に若い新芽(FOP)の価値が高く、
下位の葉(PS、S等)になるほど価値が低くなります。
通常の茶摘みは「一芯二葉」と言って、まだ芽が開いていない状態の新芽=FOP(フラワリー・オレンジ・ペコー)と
OP(オレンジ・ペコー)とP(ペコー)の3枚の葉を摘み取っていきます。
この、新芽とその下の2枚の葉のみを摘み取る方法は、良質なお茶を作るための理想的な摘み方とされています。
茶葉の部位 |
|
|
<FOP>
新芽 |
|
<OP>
2番目の葉 |
|
<P>
3番目の葉 |
|
<PS>
4番目の葉 |
加工した茶葉は、色んな部位が混ざった状態で、「品質分け」がされます。
↓下記の表は、品質分けされた「等級」をわかりやすくまとめました。
※葉のサイズが綺麗に整っているものや、FOP(新芽)が多く含まれているほど価値が高くなります。
|
茶葉が大きい←←←←← →→→→→茶葉が小さい |
リーフ紅茶 |
ブロークン紅茶 |
ファニングス紅茶 |
紅
茶
葉
の
等
級 |
<FOP>を多く含む |
<FTGFOP>
※ダージリンに多い |
- |
- |
<TGFOP>
<GFOP>
※アッサムに多い |
- |
- |
<FOP>を含む |
<FOP>
F=フラワリー
OP=オレンジ・ペコー |
<FBOP>
F=フラワリー
B=ブロークン OP=オレンジ・ペコー |
<FBOPF>
F=フラワリー
B=ブロークン OP=オレンジ・ペコー
F=ファニングス |
<OP>を多く含む |
<OP>
OP=オレンジ・ペコー |
<BOP>
B=ブロークン OP=オレンジ・ペコー |
<BOPF> B=ブロークン OP=オレンジ・ペコー F=ファニングス |
<P>を多く含む |
<P>
P=ペコー |
<BP>
B=ブロークン P=ペコー |
<PF> P=ペコー F=ファニングス |
<PS>を多く含む |
<PS>
PS=ペコー・スーチョン |
<BPS> B=ブロークン PS=ペコー・スーチョン |
<F> F=ファニングス |
アルファベットの並びはなんだか複雑に見えて、どんな紅茶葉なのか良く分かりませんよね。
でも、それぞれにはちゃんと意味があるんです。
<TGFOP>は、ダージリンやアッサムにある等級ですが、紅茶葉の見た目からは、上位にランクされています。
T=ティッピー ・・・ティップ(若い芽)
G=ゴールデン ・・・金色の
F=フラワリー ・・・花のような
OP=オレンジ・ペコー ・・・橙黄色がかった、うぶ毛、若い芽
<TGFOP>は、「金色の若い芽が多く含まれる、うぶ毛掛かった芽のある茶葉」というような意味合いです。
基本的に、紅茶葉の見た目に特徴が少なければ、アルファベットの数が少なくなっていきます。
また、この他にも、アルファベットや数字が付け足された等級などもあります。
新芽(若い芽)は、紅茶葉の芽が白くうぶ毛かかっている部分で「ティップ」と言い、その芽が発酵で色づき、
金色っぽくなったり、白く光ったものを、ゴールデンティップ、シルバーティップと呼ばれています。
新芽が多いと、見た目的には良い茶葉と言われていますが、
新芽だけで淹れた紅茶は、特徴が無く、風味や香りが欠けた味わいとなってしまいます。
ただ、この新芽が入っていると、甘みやとろみ、まろやかな、やさしい味わいになるんです。
料理でいうところの隠し味的な存在ですね。
|
たまにお客様から「“オレンジ・ペコー”ください」って言われるんですが、
紅茶の種類や銘柄だと思っている方や、
オレンジの香りのする紅茶だと勘違いしている方も少なくありません。
“オレンジ・ペコー”って新芽から数えて2番目の葉っぱのことなんですよね!
ということは・・・
高品質な紅茶葉はすべて“オレンジ・ペコー”が含まれているんですよ。
|