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こちらでは、「紅茶の抽出」をテーマにお話いたしましょう。

まず、紅茶の抽出は、沸かし立てのお湯をそそぐところから始まります。
茶葉に適した温度のお湯を、ポットの中で葉っぱを泳がせるように、高い位置から勢いよく、そそぎ込みます。
こうすることによって、茶葉が「より良く」開き、おいしい紅茶が抽出されるのです。
茶葉がポットの中で、上下へ泳ぐようにして葉を開かせることを、「ジャンピング」というのですが、
これは、おいしい紅茶をつくる絶対の条件ではないでしょう。
なぜなら、「ジャンピング」が起こらない紅茶が、『まずい』なんてことはないからです。

ダージリンやアッサムに多い、＜FTGFOP＞や＜GFOP＞などの大きい紅茶葉を、
＜紅茶をおいしく淹れる条件＞で淹れた場合、新鮮な水の中にある空気が、葉の表面に多く付着するので、
茶葉が水面に上がった状態で留まり、蒸らし時間を待つことが多いです。
茶葉によっては、抽出が終わっても葉がほとんど下りないものもあります。

大きい紅茶葉のジャンピング例
１．お湯を高い位置から注ぎ込む	２．茶葉がお湯の中で、泳ぐように開く

３．茶葉が空気を含みながら、水面に上がる	４．蒸らし時間を待つ

＜BOP＞などの小さい紅茶葉の場合は、新鮮な水の中にある空気が、葉の表面に少し付着し、
茶葉が水面にいったん上がって、すぐに下り始め、蒸らし時間を待つことが多いです。

小さい紅茶葉のジャンピング例
１．お湯を高い位置から注ぎ込む	２．茶葉が空気を含みながら、水面に上がる

３．水面に上がった茶葉が、すぐに下り始める	４．蒸らし時間を待つ

紅茶の抽出は、「茶葉の種類」や「お湯の温度」と、「紅茶を淹れた時の条件」よって様子が変わってきます。
実際の抽出例を見てみましょう。
＜TGFOP＞などの紅茶葉の種類はこちらをご参考ください。

インド紅茶　／　ダージリン
インド紅茶　ダージリン春摘み＜FTGFOP1＞おすすめ温度： 80～85℃ おすすめ抽出時間： 5分	インド紅茶　ダージリン春摘み＜FTGFOP1＞ 2分半経過	インド紅茶　ダージリン春摘み 5分で抽出終了

ダージリンのファーストフラッシュ（春摘み）の紅茶抽出です。ダージリンの春摘みは、高い温度で淹れると「渋み」が出るものが多く、この紅茶葉でのおすすめ温度は、 80～85℃（沸騰前の熱湯）です。	抽出時間の半分を過ぎると、茶葉が大分開き、紅茶水色が黄色に染まり始めました。葉に空気がたくさん付着しているので、茶葉は浮いたままで抽出されています。	抽出が終わる頃には、葉が完全に開いて、空気が離れた茶葉は、下におりていきます。透明感のある、薄淡い紅茶が抽出できました。
インド紅茶　ダージリン夏摘み＜FTGFOP1＞おすすめ温度： 90℃ おすすめ抽出時間： 4分	インド紅茶　ダージリン夏摘み＜FTGFOP1＞ 2分経過	インド紅茶　ダージリン夏摘み＜FTGFOP1＞ 4分で抽出終了

ダージリンのセカンドフラッシュ（夏摘み）の紅茶抽出です。ダージリン夏摘みは、沸騰したお湯で淹れると「渋み」が出過ぎてしまうものが多く、この紅茶葉でのおすすめ温度は、90℃（沸騰直前）です。	抽出時間の半分を過ぎると、茶葉が大分開き、紅茶水色がオレンジ色に染まり始めました。葉に空気がたくさん付着しているので、茶葉は浮いたままで抽出されています。	4分経つと葉が大分開いて、くっきりとしたオレンジ色の紅茶が抽出されました。これ以上抽出すると、濃くなるので、おすすめ時間で終了です。
インド紅茶　ダージリン秋摘み＜RED THUNDER＞おすすめ温度： 90～95℃ おすすめ抽出時間： 5分	インド紅茶　ダージリン秋摘み＜RED THUNDER＞ 2分半経過	インド紅茶　ダージリン秋摘み＜RED THUNDER＞ 5分で抽出終了

ダージリンのオータムナル（秋摘み）の紅茶抽出です。ダージリン秋摘みは、沸騰したお湯で淹れると「渋み」が出過ぎるものが多く、この紅茶葉でのおすすめ温度は、90～95℃（沸騰直前）です。	抽出時間の半分を過ぎると、茶葉が開き、紅茶水色が橙色に染まり始めました。葉に空気がたくさん付着しているので、茶葉は浮いたままで抽出されています。	5分で、葉のほとんどが完全に開きました。水中の半分以上が茶葉で埋まっています。しっかりした紅茶水色の、レッドサンダーです。
セイロン紅茶
セイロン紅茶　ディンブラ＜BOP＞おすすめ温度： 95℃以上おすすめ抽出時間： 3分	セイロン紅茶　ディンブラ＜BOP＞ 1分半経過	セイロン紅茶　ディンブラ＜BOP＞ 3分で抽出終了

ディンブラBOPの紅茶抽出です。 BOPは細かい紅茶葉なので、お湯を入れると、一気に茶葉が浮き上がりました。この紅茶葉でのおすすめ温度は、95℃以上（沸騰直前～完全沸騰）です。	茶葉が上下にジャンピングしながら、赤味かかった紅茶が、抽出されてきました。	3分程で、ジャンピングが終わり、茶葉が完全に下り、ミルクティー向きの濃い紅茶ができました。お好みで、もう少し抽出してもいいかもしれませんね。
セイロン紅茶　ヌワラエリヤ＜BOP＞おすすめ温度： 80～85℃ おすすめ抽出時間： 1分半	セイロン紅茶　ヌワラエリヤ＜BOP＞ 30秒経過	セイロン紅茶　ヌワラエリヤ＜BOP＞ 1分半で抽出終了

ヌワラエリヤBOPの紅茶抽出です。 BOPは細かい紅茶葉なので、お湯を入れると、一気に茶葉が浮き上がりました。この紅茶葉でのおすすめ温度は、80～85℃（沸騰前の熱湯）です。	この茶葉は、低い温度で淹れるのがおすすめのため、水中の酸素が多く残っていて、茶葉が浮き上がったまま抽出されています。	1分半の抽出終了まで、茶葉がほとんど下りませんでしたが、軽やかな、やさしい味わいの紅茶が、おいしく出来上がりました。